2014年8月10日日曜日

集団的自衛権の行使で注目されるホルムズ海峡の機雷掃海? (2)

集団的自衛権の行使で注目されるホルムズ海峡の機雷掃海? (2) 神山 清明 前回(1) の概要は、エネルギーの大半である化石燃料の輸入を立たれると、日本及び日本経済が立ち行かなくなること、従って海上自衛隊の重要な任務の一つがシーレーン防衛であることをお伝えしました。 このシーレーンの要所に機雷を敷設されると、化石燃料は日本に一切入ってこなくなります。そうなれば、日本は死んだも同然です。 従って、ホルムズ海峡が封鎖されるということは、日本を滅ぼすことができる早道であり、国家の一大事なのです。左翼は、この一大事には一切触れず、戦争に加担させられることのみに話題をすり替えて、国民を集団的自衛権行使反対へと洗脳していきます。 国家が存在していなければ、個別も集団的自衛権なども全くありません。 今回は、この機雷についてなるべく分かり易く、且つオタクにならない程度の説明を心がけて行いますので、最後まで読んで下さい。 機雷って? 一言では、海の地雷です。 もっと簡単に言えば、海に予め仕掛けておいて船を沈める爆弾です。 専門的に言えば、戦略的目的のために、意図する時期から海上交通の封鎖、寸断或いは混乱させる機械水雷です。略して「機雷」。 機雷を敷設する目的は、何でしょうか? 戦略的見地から、対象国の経済力を弱めることです。ボクシングの「ジャブ」。 例えば、どんなに多くの航空機、戦車、車両、弾薬や兵隊があっても、燃料、エネルギーや食料が届かなかったら、白旗揚げて、敵に降参するしかありません。動かない武器は、鉄くず同然で何の役にも立ちません。つまり、流通や製品を製造が出来なくする兵糧攻めです。 更に、この武器は新旧何れでも十分に威力を発揮しますし、武器としては安価です。つまり、いつでも使える缶切り、チョット位古くてもいつでも使えます。 戦略的と呼ばれる所以は、仕掛ける場所や目標が重要なポイントになるからです。 例えば、石油コンビナートの出入口付近に敷設し、目標を1万トン以上のタンカーに設定すれば大量の燃料輸送ができる大型船舶のみを沈めます。やがて、大型タンカーの在庫が無くなり、戦闘行為そのものの継続が不可能になります。いくら、小型のダミー船で囮 (おとり) で機雷を爆発させようとしても、機雷は目標以外には爆発しません 従って、船舶を沈めるという戦術的行為よりも、戦闘を止めさせる又は戦争継続を不可能に追い込むことができるという意味で戦略的なのです。 😎 ミニ講座 戦術とは、局地での勝敗です。 戦略とは、全体での勝敗です。 例: ベトナム戦争で、米軍は北ベトナム軍に全ての局地戦闘で勝利しましたが、米国の時の世論が反戦だったこともありベトナム戦争には負けました。 そして、ベトナムは北ベトナムによって統一されました。 米軍は戦術で勝り、戦略で負けたと言えるでしょう。 何故機雷を敷設すると海上封鎖ができるのでしょうか? 皆さんが船長になってみて下さい。 港に荷物を届ける仕事をしていましたが、ある日航空機に依って機雷が敷設されたというニュースを聞きました。 多分、あなたは、水路の安全が確保されるまで出港や入港を取りやめるでしょうが、水路の安全宣言後、何事もなく仕事を継続するでしょうね。でも、ある日知人の船が機雷で沈没した情報を入手します。今度は安全宣言がなされても、出入港を見合わせるのではないでしょうか。つまり、交通がストップした瞬間です。 それでも、国家の為にと勇敢な船長が出入港をしていると、運悪く機雷により撃沈されてしまいます。今度は、沈んだ船舶が出入港の道を塞ぎ、航行の障害になります。 脅威の海上封鎖から、物理的海上封鎖に変わります。こうなると、開港は以前よりもっと大変になります。少ない機雷数で、対象国を経済的危機に陥れることができるのです。こうなると、国家の命運は時間の問題です。 本日の終わりは、機雷の種類について説明します。中々、手強い武器ですよ。 先ず、武器の前提をお話しします。武器は味方に安全なもので、敵や目標に対して殺傷、破壊又は相手の意図を阻止できるものです。 重要な要点は、自分に対して安全ということです。 例えば、火器 (銃、大砲などの武器を指します) には暴発を防止するために幾つもの安全装置が付いているのが普通です。敵を打つ前に味方を打っては何にもなりませんから。 海上からの敵の襲撃を防ぐために地理的条件を加味して見方に有利なように機雷を敷設します。しかし、敵も別の意図を持って機雷を同海域に敷設してくることもあります。自分が敷設した機雷の位置や設定諸元は分かっていますから、自軍には安全ですが、敵が敷設した機雷の位置や諸元は不明なので掃海には相当な危険が伴います。 機雷敷設方法は、艦船、航空機及び潜水艦からの何れでも可能です。昔は、それぞれ専用の機雷がありましたが、最近は艦船、航空機及び潜水艦の何れからでも敷設できるものが主流となりました。 話を機雷に戻して、機雷には、浮遊機雷、係維機雷、磁気機雷、音響機雷、水圧機雷、UEP機雷、それらを組み合わせた複合機雷があります。 それぞれ、目標とする船舶や環境の合わせてで敷設します。 浮遊機雷は、名前の通り機雷を海面に浮遊させて敵の船舶に接触させ撃沈させます。でも、初期の敷設場所から海流や風などで移動したり、位置をコントロール出来ないので、敵の船舶がウヨウヨしているようなところでしか使用できません。 係維機雷は、皆さんが映画等で見る球体に触覚の棒が出て海中に浮いている機雷の代表的なものです。この機雷は、球体の本体とそれに索で繋れた四角い土台の箱で構成されています。敷設すると、この二つは共に海底に沈み、球体は浮力を有していますので海面に向かって浮きあがり、一方の四角い土台は重いので海底に鎮座します。索は設定された長さで止まり固定されます。 狙う船舶の大きさは索の長さで決定する原始的な機雷です。敷設する前に対象となる海域の深度は分かっていますから、(深度) ー (索の長さ) = (水面からの深さ) になります。 つまり、大きな船舶を狙う時は機雷の索は短く、小さな船も狙う時は機雷の索を長く延ばせば良いのです。 作動は、触覚棒が内部で二重になっており、皆さんがアイドルのコンサートに行って降る「光る棒」のように、折って異なった液体が混じって光る原理と同じものを採用しています。つまり、触覚の角の中に2つの液体が分離されていますが、触覚角が船舶に衝突して折れた時、この2液が混じり発火の役目を果たし、主な火薬に伝わり炸裂します。 磁気機雷は、船舶が鉄でできているので、船舶が移動すると地球と船舶周りの地場が変化します。ちょうど磁石を金属のそばで使用すると正しい北を示さないのと同じ原理を利用して、目標とする船舶の大小により、地場の感知度を変えて、目標の船舶を確実に沈めます。 この機雷は、海底に沈下させて、目標の船舶が通過するまでいつまでも、いつまでも待ちます。 更に、敷設から予め定めた期間作動させず、目標とする船舶の通過回数も任意に設定できる為、例え掃海が終了しても、終了後に目標が通過した際に作動させることができます。とっても、厄介な武器なのです。 音響機雷は、船舶が発するエンジンやスクリューが水をかく音、周波数の変化に反応して炸裂します。音は、水上より確実に強く伝達します。線路のレールに耳を当てると、空中では聞こえない音も鉄道のように密度の高い物では早く聞こえますし、通過してからの音の減衰も顕著です。 この原理を利用して、目標の船舶を確実に沈めます。 この機雷は、海底に沈下させて、目標の船舶が通過するまでいつまでも、いつまでも待ちます。 更に、敷設から予め定めた期間作動させず、目標とする船舶の通過回数も任意に設定できる為、例え掃海が終了しても、終了後に目標が通過した際に作動させることができます。とっても、厄介な武器なのです。 水圧機雷は、船舶が走ると波が立ちます。船首で盛り上がり、船中で下がり、船尾でまた盛り上がることを感知して、船中の負の水圧を感じて機雷が炸裂するものです。これも、水圧の感度を変えれば目標とする船舶を正確に撃沈できます。 海底に沈下させて、目標の船舶が通過するまでいつまでも、いつまでも待ちます。 更に、敷設から予め定めた期間作動させず、目標とする船舶の通過回数も任意に設定できる為、例え掃海が終了しても、終了後に目標が通過した際に作動させることができます。とっても、厄介な武器なのです。 UEP機雷は、船体とスクリューなどの異種金属間で発生する電流を感知して炸裂する機雷です。 更に、敷設から予め定めた期間作動させず、目標とする船舶の通過回数も任意に設定できる為、例え掃海が終了しても、終了後に目標が通過した際に作動させることができます。とっても、厄介な武器なのです。 複合機雷は、磁気、音響、水圧及びUEPの2種類以上の組み合わせで、より確実な目標を撃沈します。 そして、掃海作業を更に困難にします。 この機雷は、海底に沈下させて、目標の船舶が通過するまでいつまでも、いつまでも待ちます。 更に、敷設から予め定めた期間作動させず、目標とする船舶の通過回数も任意に設定できる為、例え掃海が終了しても、終了後に目標が通過した際に作動させることができます。とっても、厄介な武器なのです。 最近では、機雷を水深が深くても海底に沈底させ、作動方法は上記のような複合にして目標を感知したら浮上しながら目標下で又は近くで炸裂するタイプのものと、目標に直撃できるように誘導する方法が開発されています。 何れにしろ、喫水、水面より下の船舶部分、での水圧による船舶への打撃は、船舶上層部への如何なる攻撃より破壊力が大きいので、北朝鮮の小型潜水艇から発射された魚雷が、韓国の駆逐艦を数分で沈めたようなことが可能なのです。 機雷は、魚雷と同じ水雷武器です。 日露の海戦では、何十発もの砲弾が被弾しても大丈夫な日本帝国海軍の戦艦が、たった1個の機雷で1隻が、計2隻が轟沈されました。 機雷が、如何に巧妙な武器であり、掃海作業が如何に厄介かを少しはご理解して頂けましたでしょうか。 この掃海作業、日本では海上自衛隊の掃海部隊のみが実施できる任務です。 一言で言えば、「世界トップレベル」の技量です。 最後まで、ご拝読頂き、誠に感謝申し上げます。 次回は、これらの機雷の掃海、お掃除方法についてお話しします。 チョット期待して下さい。良かったら皆に知らせて下さいね。

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