●こころ
★こころ【こゝろ】
小説。夏目漱石作。1914年(大正3)「朝日新聞」連載。エゴイズムに悩みつつ、明治の精神に殉じて自殺する「先生」の心を通して生の孤独感を描く。
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・こころ【心】
1.
人間の体の中にあって、広く精神活動をつかさどるもとになると考えられるもの。
(1)人間の精神活動を知・情・意に分けた時、知を除いた情・意をつかさどる能力。喜怒哀楽・快不快・美醜・善悪などを判断し、その人の人格を決定すると考えられるもの。
「―の広い人」「―の支えとなる人」「豊かな―」「―なき木石」
(2)気持ち。また、その状態。感情。
「重い―」「―が通じる」
(3)思慮分別。判断力。
「―ある人」
(4)相手を思いやる気持ち。また、誠意。
「母の―のこもった弁当」「規則一点張りで―が感じられない」
(5)本当の気持ち。表面には出さない思い。本心。
「―からありがたいと思った」「笑っていても―では泣いていた」
(6)芸術的な興趣を解する感性。
「絵―」
(7)人に背こうとする気持ち。二心。
「人言(ひとごと)を繁みこちたみ逢はざりき―あるごとな思ひ我が背子/万葉538」
2.
物事の奥底にある事柄。
(1)深く考え、味わって初めて分かる、物の本質。神髄。
「茶の―」
(2)事の事情。内情。わけ。
「目見合はせ、笑ひなどして―知らぬ人に心得ず思はする事/徒然78」
(3)言葉・歌・文などの意味・内容。
「文字二つ落ちてあやふし、ことの―たがひてもあるかなと見えしは/紫式部日記」
(4)事柄の訳・根拠などの説明。また謎(なぞ)で、答えの説明。
「九月の草花とかけて、隣の踊りととく、―は、菊(聞く)ばかりだ」
3.
(1)心臓。胸。
「別れし来れば肝向かふ―を痛み/万葉135」
(2)(「池の心」の形で)中心。底。
「池の―広くしなして/源氏(桐壺)」
(3)書名(別項参照)。
»(成句)心合わざれば肝胆も楚越の如し
»(成句)心入る
»(成句)心内にあれば色外にあらわる
»(成句)心後る
»(成句)心重し
»(成句)心及ぶ
»(成句)心が痛む
»(成句)心が動く
»(成句)心が通う
»(成句)心が騒ぐ
»(成句)心が弾む
»(成句)心が晴れる
»(成句)心が乱れる
»(成句)心利く
»(成句)心ここに有らず
»(成句)心知る
»(成句)心好く
»(成句)心付く
»(成句)心解く
»(成句)心に浮かぶ
»(成句)心に懸かる
»(成句)心に懸ける
»(成句)心に適う
»(成句)心に刻む
»(成句)心に染まぬ
»(成句)心に染む
»(成句)心に付く
»(成句)心に留める
»(成句)心に残る
»(成句)心に任せる
»(成句)心にもない
»(成句)心の欲する所に従えども矩を踰えず
»(成句)心広く体胖なり
»(成句)心を合わせる
»(成句)心を致す
»(成句)心を痛める
»(成句)心を一にする
»(成句)心を入れ替える
»(成句)心を打つ
»(成句)心を奪う
»(成句)心を置く
»(成句)心を起こす
»(成句)心を躍らせる
»(成句)心を鬼にする
»(成句)心を傾ける
»(成句)心を砕く
»(成句)心を配る
»(成句)心を汲む
»(成句)心を籠める
»(成句)心を掴む
»(成句)心を尽くす
»(成句)心を留める
»(成句)心を捉える
»(成句)心を取る
»(成句)心を引く
»(成句)心を開く
»(成句)心を用いる
»(成句)心を以て心に伝う
»(成句)心を破る
»(成句)心を遣る
»(成句)心を許す
»(成句)心を寄せる
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★田中 修一:こころ ピティナ・ピアノ曲事典
英語表記/番号 出版情報
田中 修一:こころ De l'âme 作曲年: 1993, revised 2007年
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★小古呂
姓 読み方
小古呂 こころ
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★心(こころ・ココロ) http://p.tl/f_YN 原義については心を参照。また、以下の固有名詞となっている。
・心(こころ) http://p.tl/ZRHy 非常に多義的・抽象的な概念であり文脈に応じて多様な意味をもつ言葉であり、人間(や生き物)の精神的な作用や、それのもとになるものなどを指し、感情、意志、知識、思いやり、情などを含みつつ指している。
★語源・多義的用法
心(こころ)の語源はコル・ココル[要出典]で、動物の内臓をさしていたが、人間の体の目に見えないものを意味するようになった。
「心」の多義性
広辞苑は以下のようなものを挙げている。
・人間の精神作用のもとになるもの。
・人間の精神の作用そのもの。
・知識・感情・意思の総体。
・おもわく。
・気持ち。
・思いやり、情け。
他に 趣き、趣向、意味、物の中心、等。
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★夏目 漱石 http://p.tl/Tpmm(なつめ そうせき、1867年2月9日(慶応3年1月5日) - 1916年(大正5年)12月9日)は、日本の小説家、評論家、英文学者。本名、金之助(きんのすけ)。江戸の牛込馬場下横町(現在の東京都新宿区喜久井町)出身。俳号は愚陀仏。
大学時代に正岡子規と出会い、俳句を学ぶ。帝国大学(後の東京帝国大学、現在の東京大学)英文科卒業後、松山で愛媛県尋常中学校教師、熊本で第五高等学校教授などを務めた後、イギリスへ留学。帰国後、東京帝国大学講師として英文学を講じながら、「吾輩は猫である」を雑誌『ホトトギス』に発表。これが評判になり「坊っちゃん」「倫敦塔」などを書く。
その後朝日新聞社に入社し、「虞美人草」「三四郎」などを掲載。当初は余裕派と呼ばれた。「修善寺の大患」後は、『行人』『こゝろ』『硝子戸の中』などを執筆。「則天去私(そくてんきょし)」の境地に達したといわれる。晩年は胃潰瘍に悩まされ、「明暗」が絶筆となった。
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★『こゝろ』(こころ) http://p.tl/Q97p
夏目漱石の代表作となる長編小説。友情と恋愛の板ばさみになりながらも結局は友人より、恋人を取ったために罪悪感に苛まれた「先生」からの遺書を通して、明治高等遊民の利己を書く。
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