●布団(ふとん)
★布団(ふとん)の意味・語源・由来を解説
【意味】 布団とは、布地の袋の中に、綿・鳥の羽毛などを入れた寝具。
【布団の語源・由来】
布団は、禅僧が座禅のときに用いる「蒲の葉」で編んだ円い敷物であった。
円い蒲という意味で「蒲団」と書き、唐音で「ふとん」と読んだ。
室町時代末頃になり、綿や布でくるんだ座布団のような敷物が作られ、「蒲のふとん」と同じ用途で使われていた。
江戸時代以降、綿作りが広がるとともに、大型の綿入れの「蒲団」が作られ、寝具として用いられるようになった。
やがて、寝具の「ふとん」と敷物の「ふとん」は区別され、寝具を「蒲団」、敷物を「座蒲団」となり、「蒲」の意味が薄れ「布」当てられて、「布団」や「座布団」の表記になった。
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★枕(まくら)の意味・語源・由来を解説
【意味】 枕とは、寝る時に頭を乗せて支える寝具。
【枕の語源・由来】
枕の語源は、「ま+くら」とする説と、「まく+ら」とする説がある。
「ま+くら」の説には、頭の隙間を支える意味で「間座(まくら)」、神・霊を召喚するために頭を乗せる意味で「真座(まくら)」などがある。
その他、「ま」を「頭のま」とする説など数多くあるが、それぞれの言葉が使われていた時代が前後するため、有力な説とはされていない。
「まく+ら」説は、「枕にして寝る」意味の動詞「まく」に接尾語の「ら」が付き、名詞化された語というものである。
万葉集に「大和女(やまとめ)の 膝麻久(ひざまく)ごとに 吾を忘らすな」と、「まく」の例がみられる。
また、「ま+くら」と「まく+ら」の中間に位置する「纏く(まく)+座(くら)」や、「巻く(まく)+座(くら)」といった説もある。
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★うたた寝(うたたね)の意味・語源・由来を解説
【意味】 うたた寝とは、寝るつもりはなく、ついうとうとと眠ること。浅く眠ること。転寝。仮寝。
【うたた寝の語源・由来】
小野小町の歌に「うたた寝に 恋しき人を 見てしより 夢てふものは 頼みそめてき」とあるように、古くから使われている言葉で、正確な語源は未詳である。
漢字で「転寝」と書くが、「転(うたた)」という副詞は「どんどん進行してはなはだしくなるさま」を意味し、「うたた寝」の「うたた」とは意味が掛け離れているため、語源であるとは考えがたい。
また、「夢うつつ」などと使われる「現(うつつ)」が語源で、「現寝(うつつね)」が変化したとも考えられるが、「うつつ」が「夢心地」の意味を持つのは後世のことであるため、使われ始めた時代を考えると不自然な説である。
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★白河夜船(しらかわよふね)の意味・語源・由来を解説
【意味】 白河夜船とは、何も気がつかないほどぐっすり眠ること。熟睡していて何も気づかないこと。しらかわよぶね。
【白河夜船の語源・由来】
白河夜船の「白河」は京都の地名で、古くは賀茂川と東山との間の地域をいった。
京都見物をしたと嘘をついた人が白河のことを聞かれ、「白川」という川の名前と思い込み、「夜に船で通ったから知らない」と答えたため、嘘がばれてしまったという話から、何もわからないほど眠り込むことをいうようになった。
「白河夜船」は、実際は行っていないのに行ったふりをした話であることから、知ったかぶりの意味で用いられることもある。
また、「白川夜船」とも書かれる。
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★狸寝入り(たぬきねいり)の意味・語源・由来を解説
【意味】 狸寝入りとは、都合の悪い時などに、わざと寝たふりをすること。空寝(そらね)。
【狸寝入りの語源・由来】
狸寝入りという言葉は、江戸時代の文献にも見られる。
タヌキは臆病な動物で、驚いた時には倒れて一時的に気を失い、眠ったようになる。
昔からタヌキは人を騙すと思われており、この姿をタヌキが人を騙すための空寝と考え、「狸寝入り」と喩えられるようになった。
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★寝耳に水(ねみみにみず)の意味・語源・由来を解説
【意味】 寝耳に水とは、不意の出来事に、ひどく驚くことのたとえ。
【寝耳に水の語源・由来】
寝耳に水の「水」は、洪水などの濁流音で、「耳」は「耳にする」など、聞こえる意味で使われる「耳」である。
治水が完全でなかった頃は、よく川の水が氾濫した。
それが寝ている時であれば、なおさら驚くことになり、「寝耳に水」となった。
寝ている時に耳へ水を注がれるような不意の出来事から、「寝耳に水」になったとする説もあるが、実際に寝ているところに水を注がれるようなことはあり得ず、想像上の出来事から喩えられたとしても不自然すぎる説である。
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★床の間(とこのま)の意味・語源・由来を解説
【意味】 床の間とは、日本建築で座敷の床を一段高くしたところ。掛け軸・壷・花などを飾り、上座とする。
【床の間の語源・由来】
床の間の「床(とこ)」は、奈良時代から用いられた語で、人が座る「座」や「寝床」の意味として用いられていた。
室町時代、他の部屋より一段高くした押し板がつけられ、主君や家臣が会うときなどに用いられた「上段の間(ま)」を「床(とこ)」と言うようになり、一段高くなったところを「床の間」と言うようになった。
今日で言う「床の間」の形は、茶室が造られるようになったことで、上段と押し板が縮小されてひとつとなったことによるものである。
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★畳(たたみ)の意味・語源・由来を解説
【意味】 畳とは、和室の床に敷く敷物。藁を縫い固めて作った畳床に藺草(いぐさ)で編んだ表をつけたもの。普通、布で縁にへりをつける。
【畳の語源・由来】
古くは、むしろ・ござ・こもなどの敷物の総称として用いられており、薄い敷物を何枚も積み重ねることから、また、使用しない時は畳んでおくことから「たたむ」が名詞化され、「たたみ」となった。
今でいう「畳」は「厚畳(あつだたみ)」といって、座ったり寝たりする場所にだけ一時的に敷かれた。
部屋全体に畳を敷きつめるようになったのは、中世の書院造りや寺院などからと考えられている。
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★半畳を入れる(はんじょうをいれる)の意味・語源・由来を解説
【意味】 半畳を入れるとは、他人の言動を茶化したり、非難したり、野次ったりすること。「半畳を打つ」「半畳」とも。
【半畳を入れるの語源・由来】
半畳は、江戸時代の芝居小屋で敷く畳半分ほどの茣蓙(ござ)のこと。
現在の座席指定料のようなもので、昔の芝居小屋の客席は土間であったため、観客が入場料として半畳を買い、これを敷いて見物していた。
役者の演技が気に入らないとヤジを飛ばし、この茣蓙を投げ入れたことから、「半畳を入れる」と言うようになった。
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