2014年3月26日水曜日

●季語・季題

●季語・季題 ◆き ご [1] 【季語】 連歌・俳諧・俳句などで,句の季節を規定する言葉。季の詞。四季の詞。季題。 季節を表すためのことば。 (注記)俳句ではひとつ以上詠むことになっている   ◆季語(きご)http://p.tl/Oe8I 連歌、俳諧、俳句において用いられる特定の季節を表す言葉を言う。「雪」(冬)、「月」(秋)、「花」(春)などのもの。流派、結社によっては、題詠の題としたり、一句の主題となっている言葉を「季題」(きだい)と言い、単に季節を表すだけの「季語」と区別することもあるが、両者の境は曖昧であり互いを同義に用いることも多い(詳細は後述)。「季語」「季題」いずれも近代以降に成立した言い方であり、古くは「季の詞(きのことば)」「季の題」「四季の詞」あるいは単に「季(き)」「季節」などと呼ばれた。以下では特に説明のない限り「季語」で統一して解説する。 代表的な春の季語である「花」はもっぱら桜を指す。 ◆歴史 「紅葉」「月」はどちらも秋の季語。「花」「ほととぎす」「雪」とともに「五箇の景物」とされた 日本の詩歌において季節は古くから意識されており、『万葉集』の巻八と巻十、『古今和歌集』の最初の六巻はそれぞれ季節によって部立てがされている。季語が成立したのは平安時代後期であり、能因による『能因歌枕』では月別に分類された150の季語を見ることができる。五番目の勅撰和歌集『金葉和歌集』では、それまで季節が定められていなかった「月」が秋の景物と定められ、以後「花」(季語では桜のこと)(春)、「ほととぎす」(夏)、「紅葉」(秋)、「雪」(冬)とともに「五箇の景物」と言われ重要視された[3]。 鎌倉時代に連歌が成立すると、複数の参加者の間で連想の範囲を限定する必要性から季語が必須のものとされた[4]。発句(連歌の最初の五七五の句)は必ずそのときの季節に合わせて詠むべきものとされ、南北朝時代の『連理秘抄』(二条良基)では40ほど、室町時代の『連歌至宝抄』(里村紹巴、1627年)では270ほどの季語を集めている。また連歌の時代からは季語の本意・本情(ほんい、ほんじょう。和歌以来受け継がれてきた、その季語にまつわる伝統的な美意識のこと)が問われ盛んに議論されるようになった。 江戸時代に俳諧が成立すると、卑近な生活の素材などからも季語が集められて著しく増大した。俳諧の最古の季題集『はなひ草』(野々口立圃、1636年)には590、『山の井』(北村季吟、1648年)では1300、『俳諧歳時記』(曲亭馬琴、1803年)では2600の季語が集められている。芭蕉の正門俳諧では、漢詩、和歌以来の伝統的な季語を「竪題」(たてだい、縦題とも)、俳諧からの新しい季語を「横題」(よこだい)とも言い、松尾芭蕉は「季節(注:ここでは季語のこと)の一つも探り出したらんは、後世によき賜(たまもの)となり」(『去来抄』)として季語の発掘を推奨した。 明治時代に俳句の近代化を行った正岡子規は、十七字という俳句の短さに対して、季語によって起こる四季の連想が重要な役割を果たすと考えた(『俳諧大要』)。子規の考えを受け継いだ高濱虚子は、俳句の主題は四季を反映した自然(ならびにそれを反映した人事・生活)であるべきことを説き(花鳥諷詠)、無季俳句に対して厳しい態度を取ったが、昭和初期に起こった新興俳句運動は都会や戦争など社会的素材を扱い積極的に無季俳句を容認した。 新しい季語は近代以降も、俳人が俳句に取り入れ、それが歳時記に採集されるという形で増え続けており、現代の歳時記ではおおむね5000を超える数の季語が収録されている。   ◆   ◆   ◆き だい [0] 【季題】 ① 「 季語(きご) 」に同じ。元来,発句の中に題として詠まれる季を示す語を季題といい,発句・連句を通じて用いられる季を表す語を季語とよんで区別していた。 ② (句会などで)俳句を作る詠題として出された季語。   ◆きだい【季題】 世界大百科事典 連歌,俳諧や近代俳句で,句に詠みこむ季節感をもつ特定の語を,古くは〈四季の詞〉〈季の詞〉などといったが,明治末年以後,俳句に用いる四季の詞について,季題という語が用いられて一般化した。季語が広く連歌,俳諧の付句に用いる四季の詞までを含んで用いられるのに対して,俳句(発句)の季語を意味することが多い。早く和歌では勅撰集などで四季の部立が行われ,題詠の風も一般化し,季節の景物を詠むことが行われて,季節の詞が諷詠の題となった。   ◆季題 【きだい】 百科事典マイペディア 連歌,俳諧(はいかい)の発句中に,また近代俳句に用いてその句の季節を規定する働きをもつ語のこと。古くは季詞,季語といい,季題という語が用いられるようになったのは明治末年以後。   ◆き‐だい 【季題】 1 「季語」に同じ。 2 句会などで、題として出される季語。   ◆き‐だい 【季題】 ① 「 季語(きご) 」に同じ。元来,発句の中に題として詠まれる季を示す語を季題といい,発句・連句を通じて用いられる季を表す語を季語とよんで区別していた。 ② (句会などで)俳句を作る詠題として出された季語。   ◆世界大百科事典内の季題の言及. 【季語】より …一定の季節と結びつけられて,連歌,俳諧,俳句で用いられる語を季語(または季題)という。少数の語の季語化は,《古今和歌集》以下の勅撰和歌集でなされていたが,季語化の意識が強くなったのは,四季の句をちりばめて成立する連歌においてである。… 【詩語】より …また〈歌枕〉は名所として人々の憧憬を刺激する地名だが,地名をいうだけで人々の共同的想像力をかきたてえた点で,重要な詩的装置であり,古典的なpoetic dictionの好例といえるものであった。さらに重要なものとして,《万葉集》《古今和歌集》以後,連歌・俳諧の長い歴史的経過を通じ,きわめて精緻に体系化され,現代の俳句歳時記に集大成されている〈季題〉〈季語〉の一大宝庫がある。季題とは四季それぞれの歌を詠むに当たって,その季節を一語よく象徴しうるごとき題を詠題として立てた万葉や古今以来の分類法にもとづく用語である。…   ◆   ◆季題と季語 : 六四三の俳諧覚書  http://p.tl/aIO5 俳諧でよく用いられる「季題」と「季語」の違いをご存じでしょうか。 広辞苑風にいうと、こんな説明になります。 季題= ①季語と同じ。②和歌や俳句を作るとき、その日の詠題として指定される季語のこと。 季語= 連歌・俳諧・俳句で四季をあらわす言葉。季の詞(ことば)。 「季語とは何か」と問われて、うがった答えが許されるなら、「季寄せや歳時記に収録されている、季節のことば」と言いましょう。 千年以上に及ぶ和歌の伝統・歴史を踏まえると、こんな解説になります。 季題= 和歌において、花・郭公(時鳥)・月・紅葉・雪などの「季節に関する題目」として、平安後期までに成立し、時代を経るとともに増えていった「季の題」のこと。 季語= 江戸時代の連歌や俳諧において「四季之詞」と呼び、季題が喚起する詩情を具体的にあらわした「季の詞」のこと。俳諧・俳句が日常生活における季節感を大切にしたため、時代とともに爆発的に増えた。 なお、『季語の誕生』(岩波新書)の著者宮坂静生氏によれば、初めて「季題」の語を使ったのは明治三十六年の森無黄(もり・むこう)、初めて「季語」の語を使ったのは明治四十一年の大須賀乙字だそうです。 季題(季の題)について、もう少し説明を加えておきましょう。 和歌をテーマ(題目)別に分類すると、四季・恋・雑(ぞう)と、大きく三つに分けることができます。歌の題や句の題として細かく分けるなら、四季・恋のほか、賀・離別・羇旅(きりょ。旅のこと)・物名・哀傷、さらに、それらに属さない雑となります。季題(季の題)は、歌や句の題目(テーマ)の一つとしての四季を指しています。厳密にいえば、季語(季の詞)と意味合いが異なっているわけです。   ◆   ◆季語・季題・言葉   http://p.tl/WmCG ★季語というものは先人の貴重な遺産と考えている。必要な遺産は大事にしたい。 ★季題を大切にするということは、伝統の約束を守ってゆくということ。季感を大切にするというのは、伝統の姿勢を持してゆくことにほかならない。約束を守るか姿勢を大事にするか、作品の方向はこれでたいへん違ってくる。 ★用いられた季語が句のなかで生きて呼吸し、実体をあきらかに示す。有無をいわせぬ明確な印象を新しく持つ。そこに季語季題の最大の効用がある。 ★季題に限らず、言葉というものは、本来、使い手の力量如何によって、古くも新しくもなる生きものである。 ★俳句の季題・季語には、日本人の季節への願望がある。憧れが秘められている。    龍太は、俳句にとって「季語・季題・言葉」の重要性を説いている。  私はこれを読んで先師あけ烏主宰の言葉を噛みしめている。最初に説かれたことは、「俳句は韻文である」であった。次に、波郷の切字論をもとに「俳句にとって切れの重要性」を説かれた。最後は奇しくも「韻律」についてであった。  今、私は仁平勝氏の「俳句に関する十二章」を読んでいる。その「韻文性」の中で、易しい解説があったので抄訳してみる。  ある日本語の上手な外国人が次の俳句を作ったという。   鎌倉に鶴がたくさんおりました  俳句の規則は守られているが俳句ではない。散文なのだ。これを、   鎌倉にたくさんの鶴おりにけり  これだけで俳句らしくなる。言葉が選択される過程で、五七五のリズムを機能させるように意識されているからだ。切字、「が」の省略、その切字・省略によって五七五のリズムが強調され、韻文らしさが生れてくる、と解説された。  以上のほかに、「季語」による共感の存在など、重要な要素があるが、基本的には、「季語・季題・言葉」を大切にして、俳句を作ることであろう。(九齊)

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