2013年12月12日木曜日
「イヌ食い」
「イヌ食い」
岡本 よりたか
イヌ食いというのは、テーブルに置かれた料理を腰をかがめて食べる姿勢のことを言います。器を持たないにしても、このイヌ食いという姿勢は日本ではマナー違反であり、同席した者の気分も壊します。
実は、このイヌ食いは、食べ方の姿勢の悪さだけではなく、食に対する「姿勢」も悪いということの現れだというのを知っていますか?...
子供の頃の躾で、こういう食べ方は直されるのが普通ですが、親も家族も食に対する「姿勢」が悪ければ、直されることなくこのまま大人になっていきます。食事を満足に噛まずにかっ込み、ラーメン屋で壁に向かって食事をしても、立ち食い屋で立って食事をしても抵抗感がありません。
イヌ食いという姿勢とは、食べものは「食欲を満たすだけのもの」という姿勢であり、「時間が来たら食べるもの」という姿勢です。こういう姿勢の方は、絶対に「食の安全」に対して無頓着であり、自分の身体は食べた物でできているという基本的な理屈を理解していません。
食べるという行為は、自分を創造し、作っていく神聖な行為なのです。
食事の時間というのは家族のコミュニケーションの場であり、お互いに信頼関係を築くために大変大事な時間でした。母親が食の大切さに気づき、安心できるものを調理して子供や家族に食べさせ、健康を守ってきました。その家族には会話があり、お互いの顔を見合いながら食べ、腰をかがめる事などありません。
家族から離れても、食事の時間に友人と話をし、恋人と話し、景色を楽しみ、店内装飾を楽しみ、料理の盛り付けをも楽しみ、匂いを楽しみ、そしてゆっくりと料理を堪能すれば、絶対にイヌ食いにはなりません。
自分で作った料理でも同じことです。美味しく安心できるものなら、きっと天を見上げます。美味しいと、人は背を伸ばして大きく息を吐くものなのです。
心を込めて野菜や穀物を栽培した農家さん、安心なものを食べて欲しいと願って料理をするレストランのシェフの前で、イヌ食いなどできるはずがありません。笑いながら、歓喜しながら、感謝しながら食べれば、おのずと正しい姿勢で食事をするようになります。
食べる姿勢は、食への関心の姿勢です。貴方はどんな姿勢で食事をしていますか?自分の姿を鏡に映しながら食事をしてみてください。貴方の食への関心度が姿勢となって映し出されているはずです。
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